…モデル?私が?何で?
「……何で?」
「撮りたいから。」
「…い…ゃ」
「報酬出るよ?」
「!!」
「いくら欲しい?」
「……そ、そんな…」
そう聞いてくる間も蒼眞は写真を撮り続けている。
「わ、私は別にお金が欲しい訳じゃ…!」
「でも見たところ、仕事してないよね?」
「!?そ、そういうあなたこそ!仕事してないんじゃ?」
「はは…。そう見える?」
「うん。」
「モデルになってくれたら、教えてあげる。」
「!?」
「……海結は、海が好き?」
「え?...…うん。」
「じゃあ、ここよりも良い場所、連れて行ってあげる」
「………。」
「人が少ない場所。いや?居ないことの方が多いな…。」
「どうして私なの?」
「……海結が良いから。」
「意味わかんないよ。」
「その内分かるよ。」
「………。」
「暗くなってきた。帰ろう。送るよ。」
「うん。」
「…今日は消せって言わないだ?」
「…もう良い。」
「え?」
「あとで請求するから。」
「はは。なるほど。」
「……モデルの件は、考えさせて。」
「!……分かった。」
「本当にここで良いのか?」
「うん。」
お昼にナンパされた場所の近くまで来た。
「ここからなら分かるから。」
「…気をつけろよ。」
「…盗撮するような人に言われても説得力無いよ。」
「確かに!ってゆーか、それもう良いだろ?」
「…だって、その印象しかない!」
「ひでー奴だな~」
「それはそっちでしょ?」
「間違いねぇな!あーそうだ!海結、連絡先教えろよ!」
「えーーー。」
「良いだろ?お前友達居なさそうだし、俺がなってやるよ!」
「!?し、失礼な!友達ぐらい居るよ!」
「へぇ、誰?」
「だ、誰??え、えっと…それは…」
「ほら、居ねぇーじゃん!!はい、スマホ貸してー」
「あ!ちょっと!勝手に!」
「よし、これで登録完了ー」
「………。」
「てかお前、マジで友達居ないのか?冗談のつもりだったんだけどなー。登録してんの親だけじゃねぇか」
「そ、それは、ほら、あのスマホ替えたばっかりだから!」
「……ふーん。まぁ良いけど。俺のは消すなよ?」
「!!」
「お前…家帰ったら速攻消すつもりだったろ?」
「だ、だって!」
「とりあえず帰ったら連絡しろ!分かったな?」
「……うん。」