「そーいや最近、海結来ないな。」


「あぁ。」
陸斗が海斗に話しかける。



「なーに、気にならない?」


「別に。」


「俺は気になるけど?」


「は?」


「ほら、海結可愛じゃん?」


「…………。」



「変な男に捕まってたりして。」



「何それ、お前のこと?」



「は?俺じゃねーよ!」












「……何騒いでんの。」



「なんだ、蓮か。」



「………。」



「最近、海結居ないなーって話。」


「………あっそ。」


「蓮も気にしてないの?海斗と同じかよー。」


「……俺は…っ何でもない。」


「何だよ、話せよ。」


「……仕事だろ?俺も家で仕事してると、あんまり外出しねぇ。」


「まぁ、確かにそれもあるかもなぁ。」













「久しぶりね、海斗」



「! 沙織(サオリ)さん!?」



「どうして、ここに?」
久しぶりに見る人物に驚いたのは海斗だけでは無かった。






「ちょっとね。暫く滞在するつもりだから、これから宜しくね?」


「このこと…」


「待って、それ以上は言わないで、自分で言うから。珈琲貰える?」


「はい。分かりました。」













蒼眞の車へ乗って連れて来られた場所は
前にも2人で行った海だった…。











「今日は寝なかったな。」


「毎回寝る訳ないでしょ?」


「偉い偉い。」
そう言って頭を撫でる。


「もう!馬鹿にしないで!」



「前とは、また景色違うだろ?」



「……本当だ!綺麗〜!」



「おい、そんな急いだら転ぶぞ?」



「転ばないもん。平気平気!」



「子供は走ったらダメだぞ〜」



「う、うるさい!私は子供じゃない!」








「な〜」



「なにー?」

暫く海辺で歩いていたら
少し遠く離れたところにいた蒼眞が呼ぶ



「なんかあったのか?」



「え!? な、なんで?」



「元気無い気がしたから。」



「そ、そんなことないよ!」



「じゃあこれで元気出たか?」



「!!……だからここに連れて来てくれたの?」



「海結、ここ好きだろ?」



「……そんなこと言ってないのに」



「俺天才だから分かっちゃうんだよね」



「………なんか、ウザイ」



「ひでぇ。」



「ありがと。連れて来てくれて」



「来たければいつでも連れてくよ」



「ほんとに!?」



「え、なに、そんなに好きなのここ。」



「うん!何か分からないけど好き〜」



「それは良かったよ。連れてきた甲斐がある」







俺と海結が、海を眺めて談笑していた頃
とある人物がこの場所へ来ていることを
この時は、まだ知らなかった。