「悪い話じゃないと思うけど?」
蓮はそう付け加えた。
「…で、でも!」
「……俺じゃ不満?」
「そ、そんなことは……」
「だったら良いだろ? 俺も勝ちてぇし?」
「蓮は、勝負事が好きなの?」
「は?」
「勝ちたいって言ったから」
「……まぁそーゆー事でいいよ。」
「?」
そのあと蓮は沢山写真を撮らせてくれた。
悔しいけれど、写真映りは凄く良い。
女の子に囲まれるのも納得する。
「……なぁ、」
「? 何?」
黙々と写真を撮り続ける私に蓮は話しかける。
「…昨日酔ってた時俺、何した?」
「え?」
「……覚えてねぇから、教えろ。」
「えっと…何処から?」
「最初から。」
「……分かった。蓮に、私は一緒に飲もうって言われて、それから、」
「それから?」
「彼氏が居るのか聞いてきた。」
「それで?」
「居ないって言ったら、彼女になってって言われた。」
「………はぁ、酔った俺、殴りてぇ…」
「…ふふ、自分で自分を殴るの?」
「何だよ、何笑ってんだよ」
「だ、だって、おかしくて…。って!ちょっと、近すぎ、離れないと上手く撮れな…」
「……もう十分撮っただろ?」
そう言うと私のカメラを取り上げて
砂浜に座った蓮は、私にカメラを向ける。
「!!!」
「へぇ、こーなってんだ。」
「ちょっと!返してよ!」
「海結の毛穴まで見える。」
「!?!? 」
「嘘だけど。」
「……もう! 早く返して!」
「取りに来れば?」
そう言うと蓮はカメラを首に掛けた。
「…………」
私は座ったまま動かない蓮の近くに座り込み
カメラを取ろうとしたら
「!?」
抱きしめられてしまった。
「………蓮?あのー、離してくれないと」
そう言うとゆっくりと身体を離してくれた。
「………。」
少しの間、目が合って
耐えきれなくなった私は
立ち上がろうとしたのだが
腕を掴まれてしまった。
「…………!!」
そのまま腕を引っ張ったかと思うと
蓮は私に触れるだけのキスをした。
「れ...」
「……俺と付き合って?」
「!!」
ビックリしすぎて声が出せないでいると
「...返事は急がないから、」
そう言って私の頭を撫でて、立ち上がった。
「……送る。」
「…うん、」
蓮は自然と手を繋いできた。
私の家の前へ着くと、また頭を撫でて
「今日は酔ってないから、さっきのも本気だから。」
じゃあ、またと言って帰っていった。
家へ帰ってから私はぼーっとしていた。
心臓の音だけがやけに五月蝿く
いつまで経っても眠れなかった。