「蒼眞は、どうして来たの?」
帰り道、そう聞いてみた。
「んー?」
「いや、だってあの海に行った後、別れたじゃない?」
「海結からの電話が無かったから。」
「え?」
「数回かけたけど、出ねぇーし。」
「わ!本当だ!着信来てる…。」
音が鳴らない設定になってたみたい…。
「心配したんだけど?」
「……ご、ごめん。」
「本当、すーぐ絡まれるのな、お前は。」
「な!?べ、別に絡まれてないよ!普通に話してただけ!」
「…何?蓮のこと好きになったとか?」
「!?ち、ちが!私は別に……」
「じゃあ海斗か?」
「な、何でそんなこと聞くの?」
「分かんねーの?」
「分かんないよ!」
「じゃあ教えない。」
「!!! 意味分かんない。」
「あんまり危ない奴に絡まれるなよ?」
「そ、蒼眞だって十分危ないじゃん!」
「はぁ?俺のどこが危ないわけ?」
「全部!!」
「そーかよ。じゃあ捕まらないように逃げるんだな。」
「え、え!?」
そう言うと蒼眞は
私をすっぽりと抱き締めた。
「何?逃げないの?」
「………逃げるよ、だから離してよ。」
「嫌だ。」
「な!?……何で?」
がっちりとホールドされているので
抜け出せない…。
「もうアイツらに近づかないって約束するなら、離してやる」
「そ、そんなの分かんない……。」
「へぇ、じゃあ離してあげない。」
「!?お、重いよ……。」
蒼眞が私の頭に顎を乗せてきた。
「これはお仕置きしてんの。」
「!?!?」
更に体重を乗せてきて、
重い…とゆーか痛い…。
「……も、分かったから!離れて!……お願い。」
これ以上は私の心臓が保てなくなる。
「じゃあこれで許してやるか~」
「!? え、ちょ、ちょっと!」
今度は手を繋がれてしまった。
「海結は、小さいからなぁ~?はぐれないようにだよ。」
「ち、小さくないもん!そ、蒼眞にしたらみんな小さいだろうけど!」
「そうだな~、でも海結は特に小さいだろ?」
「っ!……た、確かに、平均より身長は低いけど…、まだこれから伸びるかもしれないじゃん!」
「無理無理!諦めた方が身のためだよ。ま、俺はまだ伸びてるけど(笑)」
「え?嘘でしょ?」
「マジだよ?去年も2cm伸びた」
「………羨ましい…。」
「俺は海結ぐらいの子が良いけどな。」
「え?」
「子供みたいで可愛いだろ?」
「!?酷い!やっぱり最低!」
「やっと着いたな。」
「うん。」
お店から30分ほど歩いたところに
私の住む家がある。時刻は午前2時半。
「そんな顔すんなって。」
「そんな顔って?どんな?」
「寂しいって顔してる」
「し、してないよ!! 」
「じゃあ、またな。」
軽く頭を撫で海結に別れを告げる。
店までは車で来ていたが、長く一緒に居たいが為に
歩いて送ったってのは秘密な。
「う、うん。送ってくれてありがとう。」
蒼眞は、来た道へとまた帰っていった。
今日1日は本当に色々なことがあって、
充実した1日だったなと思った。
蒼眞はいつも私を気にかけてくれるなぁと
この時ぐらいから思うようになっていった。
抱き締められた時は本当にドキドキした。
だけど蒼眞がそうした理由が分からなくて
モヤモヤとした気持ちが残ったまま、眠りに着いた。