私がまだ5歳の頃、ある男の子に恋をした。

東京に住んでいた私は両親の仕事の関係でとある島の田舎に引っ越してきた。

特に大きなビルやショッピングモールがあるわけでもなく、あるとすれば家の近くに川や山といった自然が豊かな場所である。

「瀬奈ちゃん、朝ですよ~そろそろ起きてきなさ~い」

下の階から聞こえたお母さんの呼ぶ声に私は目を覚ました。

ベットから起き上がった私は軽い伸びをしてお母さんのいる1階のキッチンに向かった。

1階に降りた私は、朝ご飯の準備をしていたお母さんに

「お母さんおはよう!」

と言うと振り返ったお母さんは

「瀬奈ちゃん、おはよう!朝ご飯出来たからテーブルに運ぶの手伝ってくれる?」

とにこやかな笑顔で私に言った。

私は元気な声で

「はぁ~い!」

と返事をしてお母さんの作った目玉焼きやら鮭のムニエルやらをリビングのテーブルに運んだ。

丁度運び終えたところでお父さんも眠そうな顔でリビングに入ってきた。

私は勢いよくお父さんに抱きつきながら

「お父さん、おはよう!」

と言うと、お父さんは私を抱き抱えながら

「おっ、瀬奈、お母さんもおはよう!瀬奈もお母さんも早いな~」

そう言いながらお父さんは私を抱えたまま、出来たばかりの朝ご飯が並んでいるリビングのテーブルに着いた。

私とお父さん、お母さんの3人でご飯を食べているとお父さんが

「あっ、そういえば今日家の隣に新しい人が引っ越してくるみたいだな~」

その話を聞いた私は

「えっ?そうなの?」

それに続けてお母さんも

「確かに、お母さんも最近ご近所の方からそう言った話を聞いた記憶があるのだけれど…それって今日の事だったのね~」