「ああ」 「そうかぁ。春人が恋ねぇ。でもどうして住所?」 「これは……」 「ふふっ、あまり聞いちゃ野暮よね」 そう言うと母さんはゆっくりと俺の部屋を出ていった。 結局このメモは使わなかったな。 覚えていたならシヅキはいつでも家族に会いに行けただろうに、それでも俺の傍にいてくれたのか。 「はは……」 そこまで心配をかけてたのだと思うとため息のような笑いが溢れた。 シヅキは俺を心配して会いに来てくれた。 俺はシヅキに何をしてあげられるだろう。