「ありがとう」 「ほらほら、座って」 「うん」 奥の椅子に座って、父さんも母さんも、海も空もみんながいつもの席に座る。 何も変わらない。 いつもと同じ光景。 ちらりとソファーを見る。 そこにシヅキはもう居なくて、だけどそれがいつもの当たり前の風景だ。 「春兄?」