だけど準備ができていないんだ。 ただもう少し。 「春人。私ね、本当は全部知ってたんだ」 もう少しだけ時間が欲しいだけなんだ。 「春人が私を見つけてくれた日。ううん。 私がここへ来た時だって全部知ってた。 そもそもここへ来たいって願ったのは私だしね」 もう少し待ってくれって思うのに、苦しそうな顔をして話すシヅキを見ればそんなわがままは言えなかった。 「シヅキはどうしてここへ来たいと願ったんだ?」 本当は聞くのが怖かった。 だって、シヅキが死んでしまったのは俺のせいだ。