今日のシヅキは久しぶりによく喋った。
学校が休みだから。
バイトがないから。
今日は俺とシヅキだけで一日過ごすから。
だから喋ってるのだと思った。
直接言葉は交わせないけど、シヅキの言葉にちゃんと応えることができるから、だから喋ってるのだと思った。
出会った頃、「大人しくしててくれ」なんて言うんじゃなかったと少し後悔した。
だって君はいまこんなにも夢中に話しかけてきている。
きっとお喋りが好きなんだろう。
海も凪も、母さんもバイト先のおばさんでさえも、俺の知っている女の人はみんなお喋りが好きだから。
なら、もっと自由にさせてあげれば良かったなと少し後悔した。


