「お先に失礼します。お疲れ様でした」 「お疲れ様」 次の人に引き継ぎをしてから更衣室へと向かう。 レジを引き継いでいる間にシヅキは裏の駐輪場へ行ってしまい、一昨日のように俺の真似をして挨拶をする声は聞こえなかった。 「お疲れ様」 「ありがとう。帰るか」 「うん」 それから、シヅキが荷台に乗るのを確認して雨に濡れた土にタイヤが沈みいつもより少しだけ重いペダルを踏み込んだ。 雨を吸った土にタイヤをとられないようにハンドルを握る手に力を込めて前に進む。