「何か欲しいのか?」 「そうじゃないけど。ただ見て歩くだけでも楽しいものでしょ」 「シヅキがいいなら」 「じゃあ決まり。もう着くね。今日もバイト頑張ってね」 すぐ後ろにシヅキはいるのに、その声はなんだか遠くから聞こえているような確かな距離をもって耳の奥に響いた。