俺の返事なんか聞く気すらなく、凪はすでに教室を出ようとしている。 「凪!」 「じゃあまた明日ねー!」 そう言って放課後の廊下の中に消えていってしまった。 なんとなくシヅキのほうへと視線を送る。 「ん?」 シヅキはそう言いながらにこにこと首を傾げていた。 当たり前のように荷台にシヅキを乗せてバイト先までを自転車で走る。 地面には一時間前まで降っていた雨のせいでいくつかの水溜りができていた。