別のお話。


「春人、怒ってる?」

「……」

「ごめんね。でも一人になりたくなかったの」

シヅキが昨日見せたのと同じ悲しそうな顔を浮かべる。

「小さい時からずっと守ってきたんだ、降りたら負けだって。

だから一度だって降りないで登ってきた」

「ごめんね」

「別に理由はないよ。意地になってただけ。だから気にするな」

「ごめんね」

「もういいよ。ほら、着いた」