「帆稀、おはよう。香華ちゃんも。」
クラスの子たちと話してたら声が聞こえた。郁実くんだ。石橋郁実は私の彼氏である。郁実くんは私達の一つ上の2年生。部活の先輩でもある。中学生のころから付き合っている。もう3年目かな?郁実くんの卒業式の日に私から告白した。とてもかっこいい自慢の彼氏である。
「郁実くんおはよう!!どうしたの?」
「なんか帆稀の顔が見たくなったから。特に用事はないよ。」
むむ。なんともうれしいことを言ってくれる彼氏である。自分で言うことじゃないだろうけど郁実くんは私にベタ惚れだ。勿論私も郁実くんのことは大好きである。相思相愛。嬉しいことだ。あれ、郁実くんがいるってことは⋯。
「おはよう。」
あ、やっぱり。今井先輩だ。今井千歌は香華の彼氏。郁実くんと同い年の2年生。香華と今井先輩は香華が高校生になってから付き合い始めた。中学生のときから両想いだったんだけどね。二人とも奥手だから。今井先輩は香華のことを溺愛している。香華とクラスの男子が話すだけでも男子のほう睨んじゃうもん。ほら、今も。
「香華~。誰と話してたの~?」
座ってる香華の後ろから腕を回している。顔は笑ってるんだけど⋯。目が怖いよ!でも私はそれが羨ましかったりする。郁実くんは人前だと全然甘やかしてくれない。手もあんまり繋いでくれない。ハグなんて以ての外だ。前に私から抱き着いたらひっぺはがされた。悲しい。二人の時はすっごく優しいし、これでもかっていうくらい甘い。いつもドキドキしてる。
「おい千歌。香華ちゃん困ってるぞ。それにもう時間だ。教室戻らねぇと。」
もうそんな時間か。
「郁実くん、今井先輩またね~。」
「千歌くん離して。またお昼休みに会えるでしょ?」
「じゃぁ、今日も屋上で待ってるよ!!香華、帆稀ちゃんまたね。」
郁実くんと今井先輩が教室に帰ってからしばらくしてHRが始まった。