「どこまでいくんですか⋯⋯?」
「もうすぐつくよ~!」
「死にそうな顔してんな⋯。大丈夫か?」
「な、なんとか⋯⋯。」
うう⋯⋯。登山なんて二度とやらない!
この山、すごいけわしいし、急だし、なんかもう途中からは道がなくなってきてるし。
「⋯⋯こんなところに住むなんて、よほどの変わり者ですね、そのー⋯」
「裕太だよ。高緑裕太(たかみどりゆうた)。」
「ま、変わり者ってのにはすっげー同感だな。」
そこまでいわれるなんて、そんなに変わってるんでしょうか?
うーん⋯。学校にいかないし、こんな山奥に住んでるし⋯。
謎が深まるばかりですね⋯⋯。
「ほら、もうすぐ⋯⋯、ついた!」
「わあ⋯⋯。」
そこには、息をのむような光景が広がっていた。
青々とした木々に囲まれて、ひっそりと佇む小さな神社。
小さいが年季の入った神社はどことなく威圧感をもっており、ここは神域だという強い主張を感じる。
「ここが⋯⋯?」
「うん。裕太の住んでるところ。高緑神社。」
「⋯高緑神社⋯⋯?ってことは、知識の神がまつってあるってことですか?」
「そう。あ、入る前にお祈りしてね。」
みると、昂くんはもうすでにお祈りを済ませていた。
毎回やらなきゃいけないってことか⋯⋯。