京side
「あの、夢結ちゃん? そんな食べてお腹壊さない?」
3切れ目のスイカに手を伸ばした彼女はこくこくと頷く。
「らいじょぶ、わたひ、おにゃかつよいひ!」
口いっぱいにスイカを頬張る姿は、まるでハムスターそのものだ。さっきまで顔を真っ赤っかにして俯いていた子とは思えない。
切り替えが早いな。
濡れたシャツも、この暑さに助けられてすぐに乾きそうだ。
俺もスイカをかじりながら、庭を眺める。
ところどころ萎れているけど、1箇所だけ、全く萎れていない花のグループがあった。長いツタが伸び、花の中心は黄色で花びらは白いのがバラバラに8枚くらいずつついていた。
たしかアイビーという種類だった気がする。
(__アイビーの花言葉、知ってる? いっぱいあるんだよ。素敵なのも、怖いのも)
あぁ、
お前はここにもいるんだな。
「……ど、さん、京さん!」
「へい!? あっ、なに?」
「へいって! 返事がへいって! 」
ふらりと、違うところに意識を向けようとしていた俺を現実に引き戻したのは、隣であははっ、と楽しそうに笑う女の子。
ほんと、面白い子だ。
表情が豊かでコロコロ変わる。
妹がいたらこんな風だっただろうか。
一人っ子だったから、兄弟には憧れる。
「夢結ちゃんはいつまでここに?」
「夏休み中ずっといるよ!30日に帰るかな」
「そっか、じゃあその間、暇になったらうちの店に遊びにおいでよ。お客さんめったに来ないし配達ばっかだから! おじさんも話し相手くらいにはなれるかも」
「うん、うん! 絶対行く!」
「場所はおばあちゃんに聞いたらいいから。俺はそろそろ行くよ」
靴を履いて立ち上がった。シャツはもう完全に乾いている。
やっぱりダメだ。
ふとした瞬間に思い出してしまう。
今日はもう、時間が進まなさそうだ。
車に乗り込んでエンジンをかけながら、夜まで何をして時間を潰そうか、ゆっくりかんがえる。
(今年も、同じ夏になりそうだな)
「あの、夢結ちゃん? そんな食べてお腹壊さない?」
3切れ目のスイカに手を伸ばした彼女はこくこくと頷く。
「らいじょぶ、わたひ、おにゃかつよいひ!」
口いっぱいにスイカを頬張る姿は、まるでハムスターそのものだ。さっきまで顔を真っ赤っかにして俯いていた子とは思えない。
切り替えが早いな。
濡れたシャツも、この暑さに助けられてすぐに乾きそうだ。
俺もスイカをかじりながら、庭を眺める。
ところどころ萎れているけど、1箇所だけ、全く萎れていない花のグループがあった。長いツタが伸び、花の中心は黄色で花びらは白いのがバラバラに8枚くらいずつついていた。
たしかアイビーという種類だった気がする。
(__アイビーの花言葉、知ってる? いっぱいあるんだよ。素敵なのも、怖いのも)
あぁ、
お前はここにもいるんだな。
「……ど、さん、京さん!」
「へい!? あっ、なに?」
「へいって! 返事がへいって! 」
ふらりと、違うところに意識を向けようとしていた俺を現実に引き戻したのは、隣であははっ、と楽しそうに笑う女の子。
ほんと、面白い子だ。
表情が豊かでコロコロ変わる。
妹がいたらこんな風だっただろうか。
一人っ子だったから、兄弟には憧れる。
「夢結ちゃんはいつまでここに?」
「夏休み中ずっといるよ!30日に帰るかな」
「そっか、じゃあその間、暇になったらうちの店に遊びにおいでよ。お客さんめったに来ないし配達ばっかだから! おじさんも話し相手くらいにはなれるかも」
「うん、うん! 絶対行く!」
「場所はおばあちゃんに聞いたらいいから。俺はそろそろ行くよ」
靴を履いて立ち上がった。シャツはもう完全に乾いている。
やっぱりダメだ。
ふとした瞬間に思い出してしまう。
今日はもう、時間が進まなさそうだ。
車に乗り込んでエンジンをかけながら、夜まで何をして時間を潰そうか、ゆっくりかんがえる。
(今年も、同じ夏になりそうだな)
