私はあまり人見知りするタイプじゃないし、むしろ自分からどんどん声をかけていくタイプの人間だから、

「敬語じゃなくてもいいよ」って言われてからはどんどん話しかけて、

おばあちゃん家につく頃には京さんと仲良くなっていた。


「到着~。荷物おろそっか?」

「ダイジョブだよ! だけど結局降りることになるかも」


私がニヤリとしながらそう言うと、丁度家の方からおばあちゃんが出てきた。

京さんは、どういう事? って顔してる。

「夢結ちゃん遠いところからよく来たねぇ~! 
 疲れたでしょう? 中に入っておいで。凪斗くんも休んでいきなさい」


ニコニコしながら手招きするおばあちゃん。


だけど、断ろうもんなら……。


「いやぁ、ありがたいけど俺仕事が」

「んー? 耳が遠くて聞こえないねぇー。お茶も淹れてくるからあっちで座って待ってなさいねぇ」



「ほらね?」


「……なるほど」

おばあちゃんは、決めたことは絶対実現させる。すこし強引だけど、でもそんなところも大好きなんだ。


「私も、もっとお話ししたいし!」

「こんなおっさんと!? 夢結ちゃん変わってるなぁ!」

「満更でもない顔してますけど―?」

「ばれたか!」

あちゃー、っとおでこを抑えるその姿は立派におじさんの動作で、若々しい見た目とのギャップが可笑しかった。

「ははっ、それ、めっちゃおじさんっぽい!」

「あのね、ぽい、じゃなくてそうなの!」

「どや顔で言うことじゃないから! あはははっ!」


大笑いする私につられて、京さんの表情もだんだん緩んでいく。笑うのをこらえてるのか、口の端がぴくぴくしてて。


「ねっ、その顔やめてっ、笑いたいのバレッバレだから! ははっ、ちょ、ツボに、はいちゃった、ははっ」


更なる笑い地獄にハマる。


「っ、もう! おじさんをからかうなよ! はい、早く降りて」


そう言って先に降りた京さんに続いて降りると、ちゃっかり私の荷物を縁側まで運んでくれていた。