まだ少しドキドキとした胸を必死に落ち着かせながら、京さんが運転する車でおばあちゃんの家を目指す。


ラジオからは、周りの風景とは不釣り合いな流行りの曲が流れている。


京さんは、何歳くらいなんだろう。

見た目は26くらいに見えるけど……。


信号もない田舎道は、止まることもなくスムーズに進んでいく。


なんとなく、運転中の京さんを観察してみることにした。

まず、頭にはタオルを巻いてる。


(これやっててもかっこいい人いるんだ)


眉毛は綺麗に整っていて、ぱっちりした二重の目は、長いまつ毛がくるりと上を向いて縁どっている。さっき見た時は気づかなかったけど、目元にはホクロも。


(なんか、色気あるなぁ……)


鼻筋はスっと綺麗に通っているし、唇は薄いピンクで、柔らかそうだった。


「えと、夢結ちゃん? おじさんの顔になんかついてるかな?」


「ひゃい!? いえ!ついてません!」


(見てたの、気づかれてた……)


恥ずかしいのをどうにか誤魔化そうと、話を広げる。


「おじさんって、京さん今何歳なんですか?」

「33…。だから、夢結ちゃんからしたら立派なおっさんでしょ? だって、」

何歳だっけ?

と、私を見て首を傾げる。

「18です。高校三年生!」

「若いね〜! 」

「でも、おじさんなんて! 全然30代に見えませんよ? 20代後半だと思ってました」

「嬉しいこと言ってくれるじゃん! こんなおじさんにお世辞言ったって何も出ないけどね」


「お世辞じゃないです!」



ほんと。
見れば見るほどかっこいい。



(思ってたより年上だったけど……)


チラリと横目で見ると、京さんは曲に合わせて少し体を揺らしていた。


(ピアス、つけてたんだ)

耳たぶに、小さな穴の跡があった。


って、私やっぱりめちゃくちゃ見てるじゃん!


1人で焦る私とは反対に、鼻歌まで歌い始める京さん。


(なんでそんなかっこいいのに可愛い事するの……。JKはギャップ萌えに弱いんだよ)