「よくぞ、聞いてくれた!」

正体不明、とりあえずお助けマンだと思われる中年男は、ポンと手を打つ仕草をした。
いちいち、わざとらしくそんなことするなよ。

「私はね……、陥れられたのさ。最近の私は、とにかく活躍していた。それをねたむ輩がいたとしても、何ら不思議はないものを……。あの当時の私は、策略に気づくことが出来なかったのだ」

この上なく、まわりくどい節回しだ。
要は、出世して、騙された、そんだけでしょうが。

「悪魔……とか何とか言ってたけど、それと何か関係が?」

オレはそんなことよりも、悪魔という単語になんかしらの興味を抱いていた。
中年男は一瞬ぶすっとし、すぐに立派な顔つきになった。
どうやら、話す前にこういう顔をするくせ(?)があるらしい。

「そう。私は、悪魔討伐に出かけた……。魔神、とでも言おうか。とにかく、強いヤツでね……私の二刀流が、歯が立たなかったんだ」

に、にとうりゅう!?
宮本武蔵みたいじゃん、かっけー!
オレは、ひゅぅっと口笛をふいた。