後日、先輩を振ったことを隼太から聞かされた。
聞かされたんじゃなくて私が自分から聞いたんだけど、あっさり「断った。」と彼は言った。
それでもなんだか私は隼太の隣を守りきれた様な気がして嬉しかったの。
二人で約束して会ったという話も、先輩が勝手に会いに来ただけなんだって。
隼太が自分の意志で行ったんじゃなくて良かったとホッとした。

でも、「もう喧嘩はすんな。」ってこっぴどく注意されたからそれはもうしませんと深く反省したの。
どうやらあの先輩が涙ながらに訴えたみたいなんだけど、なんて言ったかは知りたくない。
どうせ私が悪くなるように言ったんだろうから。

また以前のような穏やかな日常が戻ってきた。
隣には隼太がいて、そんな小さなことが無性に嬉しくて、さっきから私は彼に甘えてばっかり。

部屋の中を歩く彼の後をついて行くし、雑誌を読んでいればその背中にくっついて一緒に雑誌を眺めるし。
どんな時も離れたくないなって思えるの。

そんな私を見かねたのか、隼太が急に、

「そんなにくっつきたいならここで暮らすか？」

って言いだした。