運転手がいると言っても、タクシーではないだろう。

ひょっとして、お坊ちゃま?と思いつつ、
何も言わないでおく。

「緑が綺麗だね」

車窓からは、線路に沿って植えられた木々が見える。

「花もいいけど、緑も素敵ね」

「新しい気持ちになれるよ」

「じゃあ、公園でいっぱい若返って」

私の言葉に五十嵐さんは優しく微笑む。

普段会う時はスーツなので、
スラックスにカットソーといった、ラフな恰好
の五十嵐さんを新鮮な気持ちで見る。

靴はスーツに合わせるような靴で、
ラフとはいっても、どこかきっちりしている服が好きらしい。