「...遥......お願い、抱きしめて」

懇願すれば、遥は何も聞かず、笑顔で抱きしめてくれた。


「あのね、遥。一回しか言わないから、よく聞いてて」

私は、彼の背中に手を回した。力を込める。

「マリーゴールド、ありがとう。毎日水替えしてくれたら嬉しい」


最後の方は声が震えていた。でも続ける。

「本、あげる。それと、本の中に手紙が挟んであるから読んで?」

だんだんと力も抜けていく。けれど、最後の力を振り絞って、言う。






「今までありがとう。大好き、愛してる」






そうして私は、眠っていった。