転帰、とでも言うべきか。


病気は、悪化していた。

「葎!お帰り!」

そう言い、抱き付いてきたのは、葉那乃だった。
私は2週間入院した。葉那乃と会うのも、クラスの皆と会うのも、あのカラオケの日以来だ。

「ただいま。心配かけてごめんね?」

無邪気な笑顔を向けてくれる葉那乃に、優しく微笑みかける。
葉那乃に病気だということは言っていない。今、私が彼女にしていることは、最低行為に過ぎないのだ。

胸の奥でチクリと何が痛む。

「ほんとだよー!この2週間何してたのさ!」


口を開いたのは葉那乃__ではなく、由宇だった。
由宇は私の両頬をつねる。

「いひゃいいひゃい!!(訳:痛い痛い!!)」

そんな私を見て、整った顔を歪ませながら笑う。


「こらこら、小林さん。俺のスイートハニーをあんまりいじめないで下さい」

手の力が抜けた。
由宇はもっと笑う。

「ス、スイートハニーって...」