肩を並べ、学校への道を歩いていると、遥が話し始めた。

「そういやさー、葎、行く大学とか決めた?」

いきなりその話か。

「いや、決めてないけど...遥は決まったの?」

私たちは高校3年生。今は9月だから、志望がないのは少しばかり苦しい。

「俺も決まってないんだけど。あのさ、一応確認していいか?」

私の様子を窺うかのように、話し始める。

「え...別にいいけど...何確認するの?」

「あ、いや。ええと......」

遥は唐突に立ち止まり、私もつられて立ち止まった。とは言うが、手が繋がれたままだったから、どっちかが止まったら、どっちかも止まらないといけないんだけど。

「...俺らって、ずっと一緒にいるよな...?」

少し屈み、私の顔を覗き込みながら言う。
私は遥の言葉に、ちょっと腹が立った。

なんでかって?そりゃあ...

「私のこと、信用してないの?」

みたいな感じに聞こえたんだよ。


「え」

「え。じゃなくて。あのね、言っとくけど。私、遥が思うより、ってか、自分で思ってるより、遥のこと好きだからね?神様に一緒にいるなって言われても、無理だから。そのくらい遥が好きなの」

なんて言ったら、遥は顔を真っ赤にした。

「......」

「...............」

暫くの間、沈黙が流れる。その間でさえも、頬は赤く染まっていた。


やがて、彼は笑う。目尻に涙を含ませるくらいの笑いに、彼は包まれる。

「ちょ、なんで笑うの!」

「いや、やっぱり葎は葎だなって思ってね」

涙を拭いながら、綺麗な笑顔で言う。

「...なんか、ありがと」

私は、そんな遥に何故か礼を言いたくなった。
すると、

「どういたしまして」

と言って、抱きしめてくるんだから。









その時、有り得ない程の罪悪感に、襲われた。