奥様は手に持ちっ放しになっていた皿を床に置く。
その時、裏面がちらっと見えた。

「あれ、ちょっと待ってください。その皿……」

私は床に置かれた皿を手にとってひっくり返す。
すると、裏面にはきれいな模様が書かれてあった。

「これは」

模様は熱帯雨林を図案化したようなもので、緑のツタが一周唐草の様に描かれており、その合間に鮮やかな花、となにやらテナガザルの様な猿が唐草のツタにぶら下がっている柄だった。
それが、手のひらに収まるほどの皿の裏面だけに描かれているのである。奇妙であり見事だ。
思わず言った。

「これをいただくわけにはいきませんか?」

確かに骨は不気味だが、皿は見事な一品である。大きさでいっても使えはしないだろうが、飾っておくだけでも映えるような気がする。
あと、少し面白いと思ったのだ。少年時代に思い描いた冒険が、その口を開いて目の前にあるような……