「にーしーのーみやぁっ!」

ガラララッと教室のドアが開く音がする。その瞬間教室の雰囲気が変わった。

ふわふわのお下げの明るいピンクブラウンに染めた髪。少し緩めたローズピンクのリボン、高い鼻、ぱっちりとした二重の目。ぷっくりとした形のいい唇。絶対領域からのスラッとした脚にニーハイ。


周りから
「また来てくれた!」「わ、今日、ツイてる」「あいみみだぁ!」「かわいー!」

とひそひそ、黄色い声と羨望の眼差し。みんな微笑んでる。

でも、私には分かる。お姉ちゃんは少し、ムッとしてる。表には出してないけれど。

たたた、と歩いてあいみみとみんなから呼ばれる女の子は、梓沙君に近づいた。

「西ノ宮、これはどういうことかな?」

「え?それはどういうことっていうことが、どういうことですかぁ?」

お互いにこーーーーっと口角を上げて、向かい合う。


その間には誰も入れない。空気。