「めちゃくちゃ敵対心持たれてるじゃん、まなか」
面倒ごとに引っかかったね、なんて。
呆れたようにみなみちゃんが笑った。
「そんなことされても、蓮は幼馴染以上にはならないんだけどねえ」
何がそんなに不安なんだろう。
恋したことのない私は華乃ちゃんの気持ちが分からない。
「ねえ、みなみちゃん。恋って楽しい？」
みんながすることだ。
なにかいいことでもあるんだろうって思ったんだけど。
「楽しい子は、楽しいよ」
珍しく、みなみちゃんの顔が硬くなった。
「楽しい子は、って？」
「奈落の底に突き落とされるような恋もある」
「……それ、全然良くないじゃん」
「でも、ね」
みなみちゃんが振り返る。
「きっと幸せになれるよ」
そう言って寂しそうに笑った女の子を。
私は初めて見た。
