「この間、噂で聞いたんだけど、2年に好きな子がいるってホントなの?」

「えっ……」

なんだよ……そんな噂が出回ってんのか?
俺、誰にも言ったことないはずだけど?

でもまぁ、嘘ついても仕方ないし……。

「うん、いるよ」

誰なのかは言わないけど。

「あの子でしょ? 確か……今澤さん……だっけ?」

……!?

ヤバッ。思わず、反応してしまった。

「その反応は、図星……?」

「あははっ! ほんと分かりやすいね、俊くん!」

まさか……コイツら、香帆ちゃんに危害加えたりしねぇよな!?
俺は、それだけが心配でたまらなかった。

「一応言っとくけど………彼女になにかしたら、許さねぇから」

「す、するわけないじゃん……! ねぇ?」

「そうだよ~。ってか、俊くんが本気になるとかウケるんだけど!」

「もう、行こ!」

「うん……」

話していたふたりを筆頭に、周りにいた女子たちがサーっと散っていった。

すげぇ、手の平の返しようだな。
別にいいけど。そのほうが楽だし。

俺だって……自分でもこんなに香帆ちゃんのことが気になるとは、思ってもなかったっつ~の。

仕方ねぇじゃん……惚れちまったんだから。
もう半年くらい経つんだよなぁ、香帆ちゃんへの片想い。
何回か告ってるけど、見事断られてるっていう……。

そろそろ、諦め時かな?