「…………」

あれ? なにも言い返してこない。

やっぱり、先輩はチャラい……でも――。
なんだろ……この気持ち。

「何回でも言うよ。俺は、香帆ちゃんが好き。これはこれからも変わらない」

「そんなのっ……そんな先のことなんて! 分からないじゃないですか!」

「分かるんだって! 俺の本能?」

「ふふっ。……なんで大事なとこで疑問形なんですか」

私は、なんだか気が抜けて笑ってしまった。

あぁ……気づいちゃったかも。私自身の本当の気持ち。
普段はチャラいけど、きっと根は素直で真面目人なんだね。先輩って。

そんなところに、いつの間にか――。

「この間告られたのは……『友達のままで』って返事しました」

「やった!」

……嬉しそうな顔しちゃって。まだ先輩の告白には返事してないのに。

「だからって、先輩と付き合おうとかそういうのは――」

「うんうん、それはまだいい! 可能性が残ってるだけでも嬉しいから」

「……っ」

先輩って、なんでこうもポジティブなの!?

「はぁ……」

ほんとに10年でも待ってそうなんだけど……。