「朱里」
「えっ、わっ!」
目を瞑り、上機嫌に鼻歌混じりで赤ちゃんに語りかけていたものだから突然目の前から聞こえてきたその声に驚いて肩がビクッと揺れた。
目を開けると、ソファーに座る私のすぐ目の前にはたっくんが立っていて…
何故かその顔は少し強張っているように見えた。
「たっくんどうしたの?」
「朱里、さっきのって…」
「ん?さっきの?」
「大好き、会いたい、って。そう言ってたよね?」
あ、赤ちゃんにお話ししてたの聞こえちゃってたんだ…勘の鋭いたっくんのことだもん。きっと気付いたよね。
「うん。実はね、…そうなの」
「そんなに大好きなの?」
「え?それは…うん、もちろん」
「そんなに…会いたい?」
「…?うん、会いたいよ」
「絶対ダメ。そんなの俺が許さないから」
そう言って私の隣に座ったたっくんは、グイッと力強く私の肩を抱き寄せると強引に唇を重ねてきた。
何がダメなのかも何を許さないのかも分からないけれど…
珍しく強引なたっくんに戸惑いながらもドキドキが止まらなかった。


