十日月夜のおとぎ話

その時……

ノゾムが教えてくれた、苦しさから解放される魔法の呪文がふと頭に浮かんだ。



だけど……そんなの無理だよ。


あたしにはできない。



あたしは両手でスカートをギュッと握り締めた。

どこかにすがりついていないと、ズルズルとサクに溺れてしまいそうだった。



「――理由なんてないっ」