十日月夜のおとぎ話

息がかかりそうなほどの距離でサクが問いかける。


「な、ないよっ」


あたしは精一杯強がって答える。


サクの右手がスっと伸びてあたしの髪に触れた。



「じゃ……ルナが新しいネクタイを買わない理由は?」



サクは指先であたしの髪をクルクルと弄びながら、全てを見透かしているかのような表情であたしの目を見つめる。




もうダメ……。


限界だよ。


苦しすぎる……。