十日月夜のおとぎ話

やがてシュルシュルと衣擦れの音がするかと思ったら、あたしの首からネクタイは完全に抜き取られてしまった。



「いただき」


その瞬間、サクはネクタイとともにあたしの唇までも奪った。


あたしはさっきから何が起こっているのか理解できずに、立ちすくんでいた。




ただ夕暮れせまる教室がオレンジ色に染まり……


窓から吹き込む桜吹雪があまりにもキレイで……


これは夢なのかもしれないと……


そんなことをキスされながらぼんやり考えていた。



柔らかいサクの唇の感触と温かい温度があたしの体の色んな部分を甘く刺激した。





――あの日のキスを

  サクは覚えているのかな?