あの頃から関係が変わって夏のあぜ道をふたりで歩くなんて何年ぶりだろう。
暑さなんか気にならなかった。
私たちの間にあったのは楽しいって気持ちだけ。
ちらりと隣を見上げると悠李はただまっすぐ前を見ている。
私のこと、見ていない。
見たくもないよね、私のことなんか。
私が悠李をそうさせてるんだ。
そう思ったら急に足が動かなくなった。
「小雪?」
悠李はすぐに振り返って、膝に手をついて目線を合わせてくれる。
「行こう」
差し出される手。
昔は私が差し出していた側だったのに。
いつの間にこんなに大きくなったんだろう。
私の手よりずっと大きい。
軽くつかむと悠李は前を歩いてくれた。

