「小雪ちゃんは何でここに来たの?」
「それは買い物のついで」
お母さんから頼まれたから。
ぶらぶら歩いたらちょうど蓮に会って、話し込んで。
話し込んだとしてもすぐに離れられるはずなのに。
すぐにじゃあねって言って別れられるのに。
日陰から望む太陽、舞台に立てない私。
行きたくない、このまま逃げていたい。
向き合うって決めたのに。
「……小雪ちゃん?」
どうしたの?
嫌だ、泣きたくない。
まだ終わってないもん。終わらせたくないもん。
頑張らなきゃいけないのに足は動かなくて、あの日のもとに行けなくて。
蓮が下からじっと私の方を見る。
手のひらに溶けた水滴。
蓮ってチビなのに手はがっちりしてるんだな。

