「っ……詳しくは悠李に聞いて」
「えっ、悠李?」
なぜ、そこで悠李の話が出てくる?
と、思ったら小雪は私に背中を向けて全力ダッシュ。
「ちょっと、小雪!」
小雪に問い詰めたくてしょうがない。
だけど、小雪を責めたってどうもならない問題。
ううん。それより私がなんて聞けばいいのか分からなかった。
こういうときって本当に何も思考できない。
頭にもやがかかったスキマに思い出がぎゅぎゅっと押し込まれて、1つ1つそれがリアルだってことを確認したい、安心したい。
私は悪くない。結城も悪くない。
だから悪いのは、おかしいのは、浮気だなんて言った小雪の方なんだって。
そんな責任転嫁、恐ろしくて口に出せない。
次々と流れる情報の中で、じっと見つめた瞳から逸らしたあとの小雪の姿が浮かぶ。
……悠李に聞いて。

