「好きなんだ」 「……え?」 ガラス玉みたいな透明な瞳が揺れる。 「ずっと小雪のことが好きだった。あの頃みたいな純粋な気持ちじゃいられないんだ」 小雪は何かを言いたげにして、何回も瞬きをする。 「ごめん、本当にごめん」 一番大好きなきみをこんな形で傷つけてしまって、ごめん。 その後、どうやって家を出たのだろう。 自分が嫌で仕方ない。 言ってすっきりじゃなくて、さらに自分への嫌悪感が強くなっていくばかり。 もう、一生こんなこと言わないから。 もう、小雪に会う顔がない。