「私、そろそろ腹割って話したいんだけど」
からん、とガラスの中の氷が解ける。
半分以上、液体はもうない。
タイムリミットまであと半分。
「私は悠李とまた一緒にいたい。昔みたいに一緒にうちでご飯食べたり外に遊び行ったりしたい」
俺だってそうしたい。
母さんの帰りが遅いときは母さんも混じってこの家でご飯を食べた。母さんはちゃっかり残りをもらってた。
自分の家に帰る前に小雪のお父さんがこっそりお菓子をくれて、「わたしの分は?」と小雪が後で拗ねた。
土日も母さんは仕事で朝から夜までこの家にお世話になった。
夏休みはプールに連れてってもらって何回もウォータースライダーに乗った。
クリスマスもチキンとケーキをご馳走になって、プレゼント交換もしたなあ。
「悠李はどうなの?」
「俺はこの家で楽しい思い出しかない」
「なら、どうして……?何が悠李をそんな頑なに縛り付けてるの」

