「悠李は優しくて思いやりがあってよく笑うってこと知ってるからね」
そんな曇りなき目で言うなよ。
昔のこと、思い出すじゃん。
今でも振り返るとこの家で一緒にいて楽しい思い出しかない。
どうして俺は自分で離れる選択したんだろうって後悔する。
「小雪は昔から口悪くて、いじわるで……」
「最初から悪口じゃねーか」
「それでも俺が泣いてたときは一番最初に駆けつけれくれる。何があっても小雪だけは味方だった」
今は身長高くなって小雪を見下ろせるほどになったけれど、昔は気が弱くてビビリで泣き虫だった。
そんな俺をずっと小雪は守ってくれていた。
ぎゅっと手を繋いで、目を見て、紡いでくれる言葉はぜんぶ信用できる。
ああ、小雪は昔から変わらないな。
あの頃の眩しい1等星のまま。
俺だけが無意味に変わって、それが小雪を傷つけている。
そして罪悪感で自分にも傷になる。

