青の彷徨


金髪ピアスの陽介くんが俺の背中を押しながら部屋に入る。


「小雪はお茶でいいよね!悠李はカルピス好きだったよね!」


熱中症になったらアカンから!と慌ただしくキッチンに向かう。


「俺もお茶で大丈夫」

「そう?じゃあ二人早く飲んじゃいな!マジであっつい!溶ける!こんな中二人ともえらいよなあ」


エアコンの入った部屋ってかなり久しぶり。

風の通りも、花の香りの中に混じる絵の具の風味も、この家は変わっていないのに。


俺たちは変わっていく。

変わらずなんていられないのに。


「久しぶりなんだから二人でごゆっくり!!」


「……え?」


いてくれないの!?

ここは俺と陽介くんの久しぶりの再会を祝して乾杯!の流れでしょ!


ああっ、また二階の自分の部屋戻らないで!

二人きりの空間なんて耐えられない!



いきなり誰もいないとなると何を話していいか分からない。

久しぶりはさっき言ったし、元気?なんて聞くのも何様が言ってるんだって話になるし……。


それを思ってるのは俺だけじゃなくて小雪も同じく思っていることだ。