恋愛事は小学生の最もホットな話題になる。
すぐに噂は広まって、学年中で不本意な目線にさらされた。
二人で話してるだけでひそひそと笑われ、目を合わせるだけで周りからの冷ややかな目。
「もう、俺は小雪の家に行かない」
母さんや陽介くんのいる小雪の家ではそんなこと言えなくて、学校の廊下の隅で向かい合った。
小雪は顔をくしゃっと崩して一言呟いた。
「そっか」
あのとき小雪が止めなかったのはお互いの辛い気持ちを分かっていたから。
なのに、引き留めてほしかったなんて都合のいいわがままだ。
去っていく後ろ姿が忘れられない。
自分から手放したはずなのに、どこかで小雪が振り返ることを期待していた。

