あの頃、俺らは子供だった。
同じクラスだった俺らは学校でもよく一緒にいて、仲良しな幼なじみで通っていた、はずだったのに。
いつの間にか好きなんでしょ?とか付き合ってるんでしょ?とか。
疑問形なのに断定させる圧力で攻められる。
それでも俺らは変わらなかった。
だってやましいことなんて何一つないんだし、小雪がいない生活なんて考えられない。
そばにいるだけで落ち着くし、安心して背中を預けられる。
俺たちの関係は変わらなかった。
その確固な絆を壊しにかかる悪趣味なヤツがこの世にいるんだ。
個人単位での興味は野蛮な猿の美味しい餌になって攻撃してきた。
「知ってる?悠李と小雪ちゃんて毎日家を行き来してるんだってよ。夜まで一緒とかヤバくない?」
にやりと口角を上げる。その姿は仮面をかぶった悪魔だ。
毎日顔を合わせて強制的に一緒に登校させられる。
結城という男がおれほど残忍な野郎だと気づかなかった俺の落ち度だ。
目立つのが好きで騒ぐのが趣味のようなただのガキ大将だと見くびっていた。

