「ねえ、悠李。まだ?」 その言葉だけで分かる。 縋るような目はあの時の風景を想像させる。 待っていて。 さよならなんて言えなかった。手放したくなかった。 この手をずっと掴んていたかったのに。 だけど、届かないのがもどかしい。 「今日さ、久しぶりに家来てよ。お母さんも寂しがってるし。あと、兄ちゃん帰ってくるし」 「陽介くんが!?」