青の彷徨



今日はひまわりの種を精密に描く日なんでね。




鉛筆を持ちます。


揺れます。


影ができます。


顔を上げます。





逆光で眩しかったはずの左側。

焼け焦げそうな首の皮。


蝉がこれでもかってくらい騒ぎだす中で、季節がどこかに行ってしまった。



「……どうも」


彼女はそう一言だけ残して荷物をそこに置く。




「何しに来たの?小雪」


麦わら帽子に純白のワンピース……ではなくて体操服なのは学生だからしょうがない。


「園芸委員の水やり当番。今週私のクラスなの」


「え、これ当番制なんだ」


このひまわりに水やりに来た人今までいないんだけど。

そんなこと言うのは野暮だろうか。


真面目にホースを伸ばしている小雪には黙っておこう。



「園芸委員って一人じゃないよね?こういうのって二人でやるイメージあるんだけど」

「先に来た方がやったら早い。こんな猛暑で待つ阿呆はおらん」


その論で言ったら猛暑の中に何時間もいる俺は阿呆確定じゃないか。