「なあ、あれからどうなん?付き合ったりしてない?そこらへんどうなんだよお前ら」
「……壊したお前が言うな」
これが逃げだって分かってる。
あいつの勝ち誇ったような顔見るとやっぱり一発ぐらいは殴っておきたい。
このくらいで動揺しちゃいけないのに。
結城から逃げるように走った。
坂道で速く走れた気分になるけれど、夏の暑さだけは容赦しなくて、汗が気持ち悪い。
ぎらぎら照り付ける太陽があざ笑う。
だけど、バレー部レギュラーの結城はすぐに追いついてきやがってにやりと笑う。
「俺は二人を応援しているからな」
耳元が気持ち悪い。
べったりを染みついてさらに気持ち悪さが増す。
どうしてお前に応援とか言われなきゃならない。
俺と小雪を引き離したお前が…。
結城が壊したのは美織だけじゃない。
俺らはあいつに関係を壊されてから一度も話をしていない。

