青の彷徨



その挑発に乗りたくないって気持ちもあるけれど、やっぱり事実…いや、真実が気になる。

結城が好きな人がいながらも美織と付き合ってたことは事実。だけど、その事実には疑問と矛盾しかない。

その理由と真相が聞きたかったんだ。



「なんで、美織と付き合ったんだ…?」


結城の友達あとは愛華や蓮といったクラスメイトも二人の関係性を知らないだろう。

この事実を知ったらなぜ?って誰もが首をかしげるのに。



俺はこのまま真実を知ったとしても美織に言わないと思う。

美織はもうあの悲しい思い出を捨てていいんだから。



朝だっていうのに太陽は容赦なくて、ピンと一本糸を張ったぐらい冷たい空気もゆるゆると溶かしていく。



「区切り?」


蝉の大合唱でほとんどが遮られてたけど、ぼそりと呟いたそこだけがはっきりと聞こえた。


俺が聞こえてないってことに気づいたのか、さっきから微妙な距離だったけど、部活用のカバンを逆に持ち替えて俺の隣にやってきた。