青の彷徨



目が合えば無視はできない。

それが腐れ縁のさだめ。

このアパートの向かいに住んでて、自分の部屋から結城の家の玄関が見えるという位置にあるので、なんやかんやでこうやって一緒になる機会が多い。


これは幼なじみじゃない。ただの腐れ縁。

俺の幼なじみは小雪しかいない。



「結城は部活?」

「そう、午後までみっちり」



結城はバレー部だ。

バレー部です、と大主張するTシャツ姿でもイケメンなのは滅べばいいのに。


あー気まずい。沈黙つら。



「気まず」


お前が言うな。

この状況で気まずいのは全部お前のせいだろ。



んーと腕を伸ばして暇そうにしてるのも腹立つ。



「俺、ずっと思ってたんだけど、お前ら全く聞いてこないよな」


おいおい、急に話の展開変えるな。

これだからパリピの会話にはついていけない。



「あれから半年経つけれど、誰も真相聞いてこないの逆に怖い」

「俺らはそんな感情に任せて人にぶつけるような性格してない」


結城が挑発して聞こうとしてるのってあのことだよな。