「今まで、ありがとう。ずっとありがとう」
そしてもう一回息を吸う。
「さよなら!!大好きだったよ!!!」
これがきっと最後になる。
さようなら、私の恋。
行こう、と結城が声をかけて、二人は行ってしまった。
大好きだなんてあんな大きな声で言ったの恥ずかしい。
きっと一生、恥ずかしくて、きれいな恋の終わり。
「……美織」
後ろから、トン、と肩をタッチされて後ろを向く。
「今なら、大サービスで胸貸してやるよ」
もっといい言い方ないんですかね。
坂道のせいなのか、余計に背が高く思える。
「悠李の胸は悠李が心から好きだって思う子に貸してあげなよ」
「……そっか」
「そうだよ」
あの日の恋に、さようなら。