やっぱり、無理だ。
やっぱり、結城と愛華ちゃんのペアを見るのは辛いなあ。
固まってると一瞬、結城と目が合った気がした。
そして、私がそこにいないかのように空気と化して、楽しそうに笑いながらその場を通り過ぎる。
いくら、秘密だっていったって、私、彼女じゃなかったっけ?
結城は誰を守りたかったの?
前から決めていた言葉も決意も全部崩れていく。
ここから立ち去りたくて、逃げたくて、とりあえず教室に戻ってた。
「あれ、美織?どうした?」
どうしたはこっちのセリフだよ。
「なんで、悠李まだ残ってるの…」
「数学の宿題出しに行ってたから…」
一人になりたかったのに、どうしてここに悠李がいるの。
「ねえ、美織」
背の高い悠李が影になる。
一歩一歩、静かな教室に足音だけが響く。
「泣きたい?」
顔を上げると、これまでになく優しい顔してる悠李がいた。
いつも無表情のくせに、どうしてこんな時にかぎって優しいんだよ。

