「美織が傷ついたの知ってるし、その傷をつけたのは間違いなく俺だよな」
「そうじゃ、ない」
「そうなんだよ。何も知らないままっていう選択肢もあったのに、俺らがそれを無理やり潰したようなものだ」
俺、ら。
その複数形には小雪のこともあるだろう。
「感謝してる。教えてくれたこと。それよりも、二人が私を傷つけたいとかそういうこと思ってないの分かってるから、悠李もそんなに追い詰めなくていいよ」
「いや、全然追い詰めてないし」
心配して損したわ。
たしかに表面的にごめんって言ってるけれど、それでも俺は悪くないって空気が伺えるような。
悠李は基本クールな方だ。
ほとんど無の顔から感情を読み取るのは至難の業。
幼なじみにしかできない。
「ただ、小雪にはその気持ちをちゃんと伝えてほしい。あいつ、けっこう思いつめてたから」

